7月2011

ぐるなが人物MAP②

町の中の古書店から
明るい話題を発信する。

山崎晴樹さん

山崎書店店主 山崎晴樹さん町の中には、会っただけで心和む人がいる。お互いの顔を眺めながら、どうということのない他愛ない話をして笑いあう。それだけのことなのに、ちょっと幸せになれたような気分。このせちがらい世の中、そういう人は少なくなった。貴重な存在だ。

長野市緑町の古書店・山崎書店の主人山崎晴樹さんもそんな一人。眼鏡をかけた目はいつも笑っていて、短めの髪型は、流行のアンシンメトリーなんだか、寝癖なんだかわからないナチュラルな雰囲気。興が乗れば「ガハハハ」と往年の和田勉ばりに声高らかに笑う。こちらが振った世間話にもいい具合に反応する。そんなところが愛されて、この古書店には「ヤマちゃん」と呼び、いろいろな人たちが集まってくる。

最近は、童心芸術家とも呼ばれる横井弘三の作品を発掘調査する市民団体「横井弘三とオモチャン会」(黒田弘志会長)の事務局を務める。飯田市出身の横井は昭和19年に長野市に疎開、善光寺界隈で精力的に創作活動を行い、市内にも数多くの作品を残している。この絵に惚れ込んだ人たちが集まり、会結成に至ったのも山崎さんの人脈が貢献しているようにも思える。

山崎書店外観ところで、山崎書店は「昭和23年、最初は若松町でオヤジの松十が始めたんです」。終戦直後の開業は長野市内でも老舗格だ。言論弾圧や統制などが続き、活字に飢えていた当時の人たちにとっては、まさに待ちに待った本という「娯楽」を提供してくれる貴重な場所となった。

現主人の晴樹さんは2代目だが、東京の大学在学中から、池袋の有名古書店「高野書店」で修業。本の価値観、売れる本の見極め方などを徹底的にたたきこまれた。それが今日に生きている。長野に戻ったのは緑町店がオープンした平成元年。

入口に高く積まれた雑誌、安くて値打ちのある郷土の本、そして読みたかったあの文庫本…。本好きにはたまらない誘惑が、もう店の外から始まっている。

山崎書店店内「蔵書は、倉庫にあるものを合わせれば5万冊は超える。だから店の中には本がいっぱいで、よく、もっと見やすく整理しろと言われるんだけど、古本屋の楽しみは、こんな本の山の中から自分が探し続けていた1冊を見つけることだと思うんだよね。ガハッハハ」山崎さんは笑う。

「長野は全国的に見ても地方出版社が多いし、いわゆる郷土ものの出版も目立つ。郷土史が好きな人が多いのも特徴かな。古書店は店主の好みが仕入れに出るけど、その点を抑えておかないとなかなか売れないね。私も全国古書籍商組合連合会に加入していて、東京で曜日ごとに開かれる中央市会、東京古典会、明治古書会、東京資料会などで仕入れるわけ。店主のセンスが試されるから、そりゃもう、大変だよ、ガハハハ」。

山崎さんによれば、最近20代くらいの人たちが「もう一度、名作を読んでみたくなった」と古書店を訪れる姿が目に付くとか。震災や不況で、余暇の過ごし方も少しだけ変わり始めているのかもしれない。

山崎書店/長野市緑町1398
営業時間/10時~19時 日曜定休

●写真展 –
信州の自然を感じたままに撮る。

第2回四季美会写真展
ー明日天気にな~れー

小林国雄さんの作品

小林国雄さんの作品

浦哲司さんの作品

浦哲司さんの作品

武田ふみ子さんの作品

武田ふみ子さんの作品

四季折々の信州の自然をそれぞれの感性で捉えた四季美会の写真展。メンバーは小林国雄、浦哲司、武田ふみ子さんの3名だが、写真家・古田格(信濃町)さんの指導の下、奥志賀の秋の渓谷、飯山瑞穂の菜の花の海、爛漫と咲く小布施の桜、安曇野の白鳥の優美な姿など各地の四季を見事に表現している。メンバーはいずれも高齢の足などに障害がある方たち。撮影時には社会協議会の車を借り、ボランティアの手伝いを受けて、車いすで大自然の懐に飛び込む。

そうして撮られた1枚1枚の写真には、風景の妙とは別に、素直に自然と向き合うことの喜びも感じられる。

場所/ギャラリープラザ長野(長野市新田町)
日時/7月14日(木)~19日(火) 午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)
入場料/無料

●ラバーソウル(東町) –
子供を連れて行きたくなる
隠れ家的カフェ発見。

ラバーソウル連内

お気に入りの本を手にくつろげる空間

ラバーソウル店内

ビートルズの曲が流れるラバーソウルの店内

長野市東町の旧倉庫跡KANEMATSUに2月にオープンしたお店。「ラバーソウル」は、改修された倉庫の入口にある。建物は当時の雰囲気をとどめていて、天井の梁や柱はそのままに残し、張り巡らせた電線なども露わなまま。

店の中央に大きなテーブル、壁に作りつけられた本棚がある奥のスペースにはソファーが置かれ、お気に入りの本を手にくつろげる居心地のいい空間になっている。

店に入った瞬間に漂ってくる香ばしいパンの匂い。そう、この店はおいしいパンが味わえる店でもある。以前パン屋、パスタ店で修業を積んだキャリアをもつオーナーの木谷浩さん。人気のあるプチパン(70円)もきなこドーナツもきちんと朝から自分で仕込んでいく。味わうともっちりとした食感。シンプルなパンのおいしさがジワーッと口の中に広がる。さらに、ピザトースト(250円)も本格的だ。

ラバーソウル料理

キッズセット(300円・写真上)とスコーン(1個120円)

木谷さん自身が2歳の子のパパだけに、アレルギーのことも考慮して材料にも心を砕く。小麦粉、乳製品は使わないわけにはいかないが、卵はいっさい使用しない。「子供ができる前は食材のこともそんなには考えなかった。でも、今は違います。子供にも安心なように、省けるものはできるだけ省く。味にも刺激のあるものは極力避けて、シンプルなおいしさを求めています」と木谷さん。キッズメニューも充実していて、プチパン、ウィンナー2本、キッズドリンクが付いたキッズセット(300円)、きなこドーナツ、キッズドリンク付きのキッズドーナツセット(300円)は好評。

 

店内に流れるビートルズの曲。店名の「ラバーソウル」は、ポール・マッカートニーが、ソウルミュージックのアルバムをつくる時にいった「ああ、そうだよ。白人のオレがやるソウルは偽物のソウル。本物じゃないゴムのソウルさ」という言葉から名付けたという。「ぼくも東京の出身なんですが、大好きな長野県人になりたいと思っている。今は偽物だけど、いずれは本物の長野県人にという思いがあります。そんなところも共通しているんです。ラバーソウルに…」と照れながら語るオーナーの気質。たくさんの信州人に聞かせてやりたい。

そんな飾らないおもてなしが好評で、午後のお茶を楽しむママ友や、休日などは1人で訪れるサラリーマン風の男性客も。心落ち着く「隠れ家」としておすすめだ。

長野市東町207-1KANEMATSU内
☎026-262-1175(代)
営業時間/7時~18時 木曜定休

長野県長野市長野東町207

●遊歴書房 –
善光寺門前にオープンした古書店。
知性をくすぐる1万冊の本の地球儀。

遊歴書房入り口

洋館内の執務室を思わせるガラス扉

遊歴書房店内

四方を天井まで届く本棚に囲まれ、
濃密な本の世界が広がる

最近、善光寺の門前に気になる書店がオープンした。

それが、長野市東町の元ビニール工場倉庫だった場所を改修した古書店「遊歴書房」。倉庫跡KANEMATSUの奥にあり、何やら洋館内の執務室を思わせるガラス扉を開けて足を踏み入れると、四方の壁を天井まで届く本棚で囲んだ濃密な本の世界が広がる。

6月8日オープンの店だが、早くも長野の本好きたちの関心を集めている気配。入ってすぐ、メインスペースに置かれた古い地球儀に象徴されるように「ここは地球儀の内側にいるような不思議な感覚を味わえる店」とオーナーの宮島悠太さん。34歳を迎える今年、7年間勤めた大手書店を退社し、「本とはずっと離れられないと思ったし、何か納得できることをしたい」と念願の古書店をオープンさせた。

そんな発想の店を思い描いたのは、ご自身が帰国子女で、学校卒業後にバックパックで世界中を旅して歩いたこととも無関係ではなさそうだ。旅と歴史が無類に好きだ。自分の書店はそんな旅と歴史をたっぷりと遊べる空間にしたかった。

そこから名づけられた「遊歴書房」の本棚は、歴史・哲学・宗教・政治・社会といった硬めの本から、文学、紀行、そしてまんがまで実に多彩。それらを国別に編集しているから、本棚そのものが世界地図というわけだ。1冊の本から隣り合う関連の本へ、そこからさらに別の本へと次々とイメージジャンプしていけるように工夫されている。

「本屋には編集能力が必要。どんな本をどんなテーマで集められるか。どんどん夢が膨らんでいくディズニーランドのような本屋にしたい」と、宮島さんのロマンもふくらんでいく。

蔵書は1万冊。オーナーが「人文書の森」にしたいと自身の感性と行動力で集めた努力の跡。中には初版本や希少本などマニア垂涎の本も数多い。今、それが読者たちの判断に委ねられる。しかし「内容がいい本は必ず売れる」という宮島さんの確信は揺るがない。

地元の人たちはもちろん、善光寺を訪れる旅行者が立ち寄っても楽しい、そんな書店の誕生だ。散歩の途中に気軽に覗いてみてはいかが。

長野市東町207-1KANEMATSU
☎026-217-5559
営業時間/11時~20時
定休日/毎週月曜日

長野県長野市長野東町207

●作品展 –
さわやかな飯綱の風の中で
アートの世界を愉しむ。

25人の作り手からのメッセージ、夏の展。
飯綱高原ギャラリー回遊展
7月29日(金)~8月7日(日)

暑い夏は市街地を離れて、高原で優雅にアートの世界を満喫。そんな夢を叶えてくれるのが今年で8回目を迎える「飯綱高原ギャラリー回遊展」。高原に点在するパレットハウス、煉、アトリエふくろうなど7つのギャラリー(A会場~G会場)を会場に25人の作家たちの作品が並ぶ。涼風の中、お好きなアーティストの世界を自由に巡れるのが魅力だ。

注目は、Lemonギャラリー(B会場)の「若麻績敏隆とパステルのお仲間達展」。若麻績さんは善光寺白蓮坊の住職でもある日本画家で、美しい自然風景をパステルの淡い色彩で描くが、見る人の心もようを見ているような気分にさせられ、見終わった後にさわやかな余韻が残る。ほかにも染め糸を独特な織技で-染織・いしいゆみこ、染め付けの器たち-陶磁・渡辺由理子、新感覚の切り貼り絵の世界-カッティングアート・田辺博保ら興味深い作り手たちの作品が揃っている。入場無料。作品は販売もしていて、売上金の一部は地震被害にあった栄村への義援金に充てられる。

お問い合わせ/事務局☎026-239-2331
会場/
(A会場)ギャラリーパレットハウス
(B会場)Lemonギャラリー
(C会場)ギャラリー煉
(D会場)アトリエふくろう塾
(E会場)木々工房
(F会場)気球工房
(G会場)ギャラリーソリテュード