ぐるなが人物MAP①

家族愛、仲間意識が強い妖怪の人気者
河童を描いて20余年。

宮本廣文さん(69)

カッパの絵師として知られる広告美術家・宮本廣文さん

カッパの絵師として知られる
広告美術家・宮本廣文さん

宮本さんが描いたカッパの色紙

宮本さんが描いたカッパの色紙

長野市三輪1丁目に事務所を構える広告美術家・宮本廣文さん。以前は広告会社に勤務し、商店の看板の絵やレタリングの仕事を続けてきたが、1967(昭和42)年に独立。現在は市内ではよく知られる武井、妻科、秋葉など歴史ある神社の祭典に飾る行燈の絵などを数多く手掛けている。

 

その宮本さんには、もう一つの顔がある。それは、20年以上も前から描き続けている河童の絵師としての顔だ。

河童は、言うまでもなく想像上の生き物であり、鬼や天狗と並ぶ日本を代表する妖怪だ。全身は緑化赤色。頭の上には水でぬれた皿があり、口は短いくちばし、背中には亀のような甲羅があり、手には水かきが付いている。今ではアニメやCMのキャラクターとしても人気者の河童だが、もともとはあまり評判のよろしくない妖怪だった。例えば、水辺を通りかかったり、泳いでいる人を水中深く引き込み溺れさせたり、「尻子玉(しりこだま)」を抜いて人間を腑抜けにしてしまったりと、悪ふざけの領域を超えている。尻子玉というのはヒトの肛門にあると想像された架空の臓器のことで、何とも恐ろしい。

そんな河童が人々に愛されるようになったのは、1953年ごろ、漫画家の清水崑が「かっぱ天国」という連載漫画で愛嬌のある河童たちの生活を描いてからだ。この絵はその後、清酒メーカーの黄桜のキャラクターとしてTVコマーシャルにも登場。今でも人気を集めている。

「私が河童に惹かれたのは、20年ほど前に斉藤博文の画集を見て衝撃を覚えてからです。河童というのはカワコ、カワンベ、河太郎など50以上もの呼び名があることからも分かるように、全国的に分布している妖怪です。特に長野県では上高地の「河童橋」で知られるようにお馴染みの存在。河童は悪いこともするけど、とっても義理堅く、恩返しもする愛すべき妖怪なんです。そんなところが好きで、一気に描き始めたんです]と口元をゆるめる。

宮本さんの河童は、大きなキャンバスに描かれた大作もあれば、色紙に描かれたコンパクトな作品もある。穏やかな人柄同様、軽妙なタッチ。見る人をほっと和ませてくれる。宮本さんによれば、現在、長野県内で河童を描いている画家は4人だけだというが、宮本さん自身も納得できる「自分の河童」が描けるようになったのはつい3・4年前からだとか。「河童は家族愛やきょうだい愛が強い、とても仲間を大切にする生き物なんです。このたびの東日本大震災以降、家族や仲間の絆が見直されている。今こそ、河童の姿をもっと知っていただきたい」と静かに語る宮本さん。

宮本さんの絵は、自身も会員となっているJR三才駅前のNPO法人「ホットラインながの」2階ギャラリーに展示されているが、鑑賞するには事前の連絡が必要(℡026・251・3111)。

また、毎月第2・第4土曜日の午前10時から、もんぜんぷら座(問御所)で絵手紙教室も開いている。ゆったりとしたリズムで、宮本さんの「河童談義」に耳を傾けるのも楽しい。

宮本廣文さん
☎026・244・2786