●銀猫 –
善光寺門前にあるレトロなギャラリー。
「銀猫」には一徹な瓦職人のアートロマンが潜む。

銀猫善光寺界隈に、最近、魅力的な店舗が増えている。

いまや、「長野市は門前町」と簡単に位置付けられているが、もともとこの辺りは、国宝善光寺を中心に、北陸諸国の大名たちが定宿にした本陣もある善光寺宿として賑わった所。大門町を中心に栄え、幕末期には約30軒の旅籠があった。さらに、東之門町には25軒の木賃宿があったという善光寺町は、門前町としての顔のほか、北国街道の宿場町、市場町も兼ねていたのだ。

当然のように、一帯には、古い時代から商いをする商家や蔵が多かった。長い時を経て、それらは乾物屋、魚屋、八百屋、床屋、傘屋など形態を変えて、活気ある街並みを作ってきた。古い町家の佇まいをそのまま残した趣ある店も多かった。

しかし、時代の流れの中で、市街地の「にぎわい地図」は塗り替えられ、いつしか、善光寺界隈は過去の町になってしまっていた。

ところが、その埋もれかけていた「善光寺町」を再生させようという、若者たちを中心にしたムーブメントが起こり、見逃されがちだった門前の空き家や蔵を住居や店舗にする人たちが増えてきたのだ。

銀猫銀猫西町の旧小河屋質店跡に誕生した「銀猫」も、古き佳き町に根を下ろした若い瓦職人・小笠原勝之さんのギャラリー。白壁と格子戸のある町家の屋根には「いぶし瓦」と呼ばれる渋い光沢を放つ瓦が葺かれ、建物に日本建築固有の端麗さと重厚感を加えている。

目を引くのが、屋根にいる大あくびをする愛らしい猫。もちろん、瓦と同じ原料粘土で焼き上げた小笠原さんの作品で、屋根上で目を光らせるリアルな銀猫の姿は、まるで「魔除け」のようだ。珍しげにカメラにおさめる観光客もいるが、気付かずに通り過ぎる人も多い。

店内を覗くと、古風なタンス、カメラ、着物、陶器、古雑誌、食器などレトロな香り漂う「お宝」の宝庫。ほかにも、さまざまにポーズする猫の箸置き(2500円)、猫をあしらった書道道具の水滴(15000円)など、小笠原さんの繊細なオリジナル作品も並ぶ。花器としても売れている古瓦も面白く、中には、寛政元年のモノといわれる善光寺の大門の瓦も。中を巡るだけで心がときめいてくる。

しかし、この店、なかなか開いていることが少ない「幻の店」でもある。

「店を開くのは、日曜日だけなんです」と小笠原さん。「ふだんは、瓦職人として寺社や一般住宅の屋根の葺き替えや補修に飛び回っていますので」。

小笠原さんが瓦職人の世界に入るきっかけとなったのは、瓦職人だった父親の仕事を手伝った高校時代。何事にも貪欲で、現在は瓦工事、瓦製作を仕事のメインに据えているが写真家の肩書も持つ。

銀猫「最近の設計士の中には、古民家再生といいながら、実は古い家の構造をまるで知らない人も多い。私は屋根の職人として古い土蔵などの補修などにも関わっているので、見せ掛けだけの再生には疑問を抱いています」と顔を曇らせる。瓦も、このところ、価格面のみの追求から陶器瓦にしてしまうケースが目立つが、釉薬(うわぐすり)を使わず、焼成の最終工程で「コミ」「いぶし」と呼ばれる燻化を行い、銀色の炭素膜を形成させるいぶし瓦の奥深い魅力を知ってほしいという。いぶし銀といわれるような独特の冴えと、ツヤはそこから生まれる。長い間変色、退色することなく美しさが保たれる。

小笠原さんが最近手がけた仕事に、近くにある徳壽院の屋根工事がある。歴史ある宿坊の門屋根に、美しくしなやかな銀猫が身を潜めている。まるで、この世の悪魔を追い払うように…。

ギャラリー銀猫
◆所在地 長野市長野西町577-1
◆営業日 日曜日のみ営業
◆営業時間 営業時間/9:00~日が暮れるまで 
◆問い合わせ ☎026-232-2187

長野県長野市長野西町577

コメント

  • 私のお客様でとても猫ちゃん好きなお客様がみえまして。屋根上でアクビをしている猫ちゃんを乗せたいと思ってみえます。当地区は台風が多くてどんなふうに取り付けるのか心配です。お手数ですがお教え願いませんでしょうか。

    2014年5月26日 8:49 AM | 都築建設工業㈱杉浦

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