●善光寺白蓮坊 –
「むじな地蔵」の穏やかなまなざしと出会う。
心あたたまる伝説の世界へと旅立とう。

白蓮坊長野市のメインストリート・中央通りを上りきると、善光寺境内と町屋の境に出る。

そこから先は、国宝の本堂前まで7777枚の美しい石畳の参道が続いている。

参道の左側には浄土宗の大本山である大本願が建つ。右側には、善光寺講の人たちや旅行者を迎える常円坊、渕之坊、兄部坊といった宿坊が昔ながらの趣ある佇まいを見せている。その石畳を数十メートル歩くと、白蓮坊がある。

目を引き付けるのは、凛とした空気が満ちた宿坊入り口の台座の上に立つ、なんとも天真爛漫な表情のお地蔵様と数珠を手にけなげに合掌するムジナのブロンズ像。

でも、これはいったい何だろう? 観光客たちもちょっぴり変わったお地蔵様を一旦カメラにはおさめるものの、その正体には思わず首をかしげる…といった光景によく出会う。

そこで、種明かし。

動物は自分自身が生きていくために、ほかの生き物の命を奪う。自然界では、そうしなければ自分や種族が生き延びられないからだ。

ところが昔々、下総の国(いまの千葉県・茨城県の一部)に生き物を殺して生きている自分の身を恥じ、次の世には別の生き物に生まれ変わりたいと切に願うムジナがいた。

そのムジナは、善光寺にお参りをして灯籠を寄進すれば、きっと自分も望み通り生まれ変われるに違いないと信じ、人の姿に化けて信州信濃の善光寺にやってきた。

白蓮坊白蓮坊という宿坊を宿に定め風呂に入ることにしたが、安堵による気の緩みからか、ムジナの姿で湯に入ってしまった。そこで見つかり、あわててどこかへ逃げ去ってしまう。

それを知った住職はムジナを不憫に思い、代わりに1基の灯籠を立ててあげた。今でも善光寺境内の経蔵北側に残っている「むじな灯籠」がそれだといわれる。そんな伝説を今に伝えているのが、白蓮坊前にあるむじな地蔵なのだ。

「仏様には四無量心(しむりょうしん)といって、四つの限りない心があります。それは、ほかの人の幸せを願う『慈』、ほかの人の苦しみを取り除いてあげようと思う『悲』、ほかの人の喜びを共に喜び合う『喜』、自分がしてあげたんだという思いを捨てる『捨』の四つ。こうしたことをむじな地蔵は教えているんです」と若麻績敏隆住職。

この地蔵は、住職自身が卒業した東京芸術大学の籔内佐斗司・大学院教授に制作を依頼し、2006(平成18)年6月に建立した。籔内さんの作品は童子が多い。有名なのが平城遷都1300年祭の「せんとくん」だ。

宿坊の中には、同じ時期に作られた木造彩色のむじな地蔵も安置されており、希望者には見せてくれる。ブロンズとの対比もおもしろい。

白蓮坊は、住職の姉も女子美大卒ということもあって、坊内に内外作家による万華鏡や色彩ゆたかなとんぼ玉などを展示販売するアートショップ「ギャルリ蓮」があるなど、どこまでもアートの香りに包まれている。

慈悲に満ちたお地蔵様の御心とアートの風に触れることができる心安らぐ宿坊だ。

白蓮坊
◆所在地 長野県長野市元善町465
◆問い合わせ ☎026-232-0241

長野県長野市長野元善町465

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