●志賀高原ロマン美術館 –
濃密な空気が満ちるミュージアムへ。
涼風の高原で才能豊かな作家たちの世界にひたる。

志賀高原ロマン美術館温泉につかる野猿で世界的に知られる地獄谷温泉にも近い上林温泉に、志賀高原ロマン美術館がある。

背後の閑静な林に抱かれた建物は、コンクリートの美術館棟とガラス張り円錐形のレストラン・ショップ棟に分かれ、見るからにロマン宿る館の印象が漂う。「自然との共生」をテーマにしたミュージアムの設計はあの黒川紀章氏で、1997年の開館だ。

この夏、同美術館では「ナガノ新コンセプトゥス 長野ゆかりの若手アーティスト10人展」を開催。様々な世代の人たちに人気を呼んでいる。

作品は県内在住か出身の若手画家や造形作家たちで、それぞれの作品世界ですでに才能を開花させつつある実力派もいる。

志賀高原ロマン美術館太陽の光が零れ落ちるエントランスからすでに作品は始まっていて、天空に向かって美しい細胞分裂を見せるようなごとうなみさんの泡状のインスタレーションがまず目を引く。彼女ならではの風船を生かした造形が柔らかく脳を刺激する。

10人展を企画したのは同館学芸員の鈴木幸野さんで「若い作家たちにとって、都市圏での作品発表は難しい状況になっています。そこで、信州の美しい高原で信州ゆかりの美術家たちに、いま心に抱いているものを表現していただきたい。それを多くの皆さんに感じてほしかった」と話す。

志賀高原ロマン美術館作品展示にも工夫が見られ、この美術館が持つ特徴をよく生かし鑑賞者の動線にもきめ細かな神経を使っている。山上渡さんの円錐形のケースが林のように立つ空間には、五輪塔のようなオブジェがあしらわれ異次元の崇高さもにじませる。中川岳二さんの木工造形も、暗い空間に配した角柱型のケースの中に精巧に組み込まれた斬新なロボットのような人形が置かれ、重厚な世界観を創る。

色鮮やかに気ままに描かれているように見えるキノコが心に沁みる小林野々子さんの絵画と彫刻。山や原っぱ、畑や道端、公園、町の中にある私たちがふだん気付かないそこらじゅうのキノコを描いている。

志賀高原ロマン美術館落とした照明の中に浮かび上がる陶芸家・本間友幸さんの壺や鉢も、思わず息を飲む色彩を持つ気品ある作品。ほかにもロックンローラーでもある岡沢じゅんさんの愛らしいタッチの絵画、妖しい魅力を持つ少年・少女を描く福島淑子さん、咲き乱れる花をダイナミックに描いた越ちひろさんの絵画、映像インスタレーションの松田朕佳さん、空想的で自由な素描を描いた豊田玉之助さんなど10の才能がそれぞれに「美の宇宙」を形作っている。

すぐれたアートとふれあう濃厚な時間は心地よく、夏の暑さも忘れさせてくれる。

美術を楽しんだ後は、レストランで芳醇コーヒーをいただいて余韻に浸る。らせん階段を上ると見える三角屋根の天井下は隠れたパワースポットだという。

長野ゆかりの若手アーティスト10人展
◆会期 7月7日(土)~9月23日(日)
◆開館時間 9時~17時
◆休館 木曜日
◆入館料 大人500円・小中学生300円

山ノ内町立志賀高原ロマン美術館
◆所在地 長野県下高井郡山ノ内町平穏1465(上林温泉)
◆問い合わせ ☎0269-33-8855

長野県下高井郡山ノ内町平穏1465

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