●長野相生座・ロキシー -
「横道世之介」がそれぞれの青春を蘇らせる。
人気の沖田修一監督の舞台挨拶も見ちゃいましょう!

長野相生座・ロキシーいい映画との出会いは、いい本に出会うのと同じくらい、その人の人生に大きな影響を与える。

若いころに観た黒沢明や小津安二郎の映画の鮮烈さと感動を、今なお熱く語る人は多いし、美人女優を起用し抒情性豊かな作品を残した五所平之助、濃密なミステリアス世界を作ってみせた野村芳太郎監督などに魅了された映画ファンもいる。

かつて、映画が国民の最高の娯楽だった時代、日本各地の映画館はどこも観客で溢れかえり、「銀幕のスター」たちの一挙手一投足に目が釘付けになった。一世を風靡した東映時代劇では、悪の限りを尽くす代官や奉行を懲らしめるために、終盤になって正義の味方が颯爽と駆けつけると、館内からは一斉に拍手が巻き起こったりした。

また、地方の人たちにとっては「東京」という、なんだかとてつもなく洗練された大都会の情報を知る数少ない媒体でもあった。映画は、私たちの心を刺激し、完全にトリコにした。週ごとに変わる次の上映作品が待ち遠しかった。

メディア社会の変化や、人々の嗜好の多様化もあって、そんな映画からファンが離れていった時期があった。しかし、大スクリーンで迫力に満ちた世界を楽しみたいという人がドーンと戻ってきた。映画の日を設けたり、レディースデーや夫婦50割引などのサービスを実施したりと映画業界側の企業努力もあったが、トム・クルーズやジョニー・デップなどの大スター人気で強みをみせる洋画とは別に、特に、邦画部門で意欲と才能に満ちた若手映画監督が次々と生まれていることも見逃せないだろう。

そんな楽しみな映画をたっぷりと観せてくれるのが、長野市権堂町にある長野相生座・ロキシーだ。大正8(1919)年4月、当時の相生座が千歳座を買収して相生座と改称し、活動写真を上映したことから始まったこの映画館は、いまや日本でもトップクラスの古い映画館となった。郷愁を誘う四角い外観、リニューアルされたとはいえ、依然として漂う館内のレトロな空気。相生座176席、ロキシー1の264席、ロキシー2の72席。そこには、昔ながらのシネマの匂いが染みついている。

長野相生座・ロキシー4月からの公開作品も面白そう。中でも6日から公開の「二郎は鮨の夢を見る」は、東京銀座の地下にあるたった10席ほどの鮨屋・すきやばし次郎店主、小野二郎さんの職人魂の世界を描いたドキュメンタリー映画。あの「ミシュランガイド東京」で5年連続で三ツ星に輝いた実在の鮨店が舞台だ。87歳の二郎の仕事に対する誠実な姿勢は、私たちに、忘れていた日本人の誇りのようなものを思い出させてくれる。

さらに、注目したいのは、やはり6日公開の「横道世之介」だ。青春小説の第一人者・吉田修一の原作を「南極料理人」「キツツキと雨」など軽妙なリズムとユーモアあふれるタッチで描く沖田修一監督が映画化したのがこの作品。

1980年代、長崎の港町生まれの横道世之介(高良健吾)は、大学進学のために上京。素朴でお人よしの世之介と、ガールフレンドの社長令嬢、与謝野祥子(吉高由里子)らと繰り広げる青春模様が心温まるヒューマンドラマとして描き出されている。

長野相生座・ロキシー井原西鶴「好色一代男」の主人公と同じ名前を持つ世之介と関わった人たちの青春時代と、その後世之介に起こったある出来事をきっかけに呼び覚まされる、愛しい日々と優しい記憶の数々…。観た人の心に、それぞれの「青春」をきっと切なく思い出せてくれるはず。

長野ロキシーでは、公開を記念して4月12日18時20分からの上映後、沖田監督の舞台挨拶がある。沖田作品のファンにとっては絶対見逃せないイベントだ。

長野相生座・ロキシー
◆所在地 長野県長野市権堂町2255
◆問い合わせ ☎026-232-3016
◆料金 前売り1300円(当日一般1800円、シニア・学生1500円)

〒380-0815 長野県長野市鶴賀権堂町2255

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