●天使のけーき -
品位のある甘さが口の中でとろける。
その優しい味わいを、人々は「天使のおすそわけ」と呼ぶ。

天使のけーき人は、おいしいものに出会った時に「幸福」を感じる。

たとえば、本物のスイーツ好きにとっての美味なるケーキとの出会いは、まさに天使との遭遇にも匹敵するほどの衝撃を与えてくれる。舞い降りた天使が運んでくれた幸福感、心の中にも喜びの波紋がひろがっていく。決してオーバーではなく、「生きていてよかった~」と思ったりする瞬間だ。

そんなことを実感させてくれる店が、城山動物園にもほど近い長野市上松の住宅街の中に、昨年11月23日に誕生した。

小さな石段の上に佇むオレンジ色の壁と丸窓が印象的な店は、自宅兼アトリエになっていて、朝7時ごろからオーナーでパティシエの母袋風実(もたいふみ)さんが、やんわりと優しいと評判のケーキをゆっくりと焼き始める。

天使のけーき入り組んだ住宅地の中にあり、派手なPRもしていないのに、口コミで知ったスイーツ好きたちが数多く訪れる店。特に人気のニューヨークチーズケーキ(ホール18㎝2900円・カット320円)は、ほんわりと蒸し焼きしているので、濃密な味わいを持ちながらライト。甘いものはちょっとというメンズにも好評だ。

さらに、ストロベリーチーズケーキ(15㎝3200円・カット350円)は、オレオクッキーの黒、新鮮いちごとクリームチーズの淡いピンクの色合いが絶妙で楽しく、甘酸っぱさとビターのハーモニーに酔い痴れてしまう。

「自慢はシフォン。ふつうシフォンは軽さが特徴ですが、うちのは豆乳を使っているのでトロ~ンとコクがあって、おいしいと言っていただきます。プレーン、バナナ、レモンとポピーシード、チョコレート、抹茶、黒糖とドライフルーツなどいろんな味を楽しんでください」と風実さん。

一見、順調そうに見えるケーキ店だが、ここまでの道のりには波乱に満ちたドラマが隠されている。

天使のけーき現在25歳になる風実さんが水頭症を発症したのは生後6か月のこと。しかし、家族や医師、周囲の人たちの献身的な支え、そして何よりも生きようとする幼いが強靭な生命力が、病を遠くへ退けた。元気になった風実さんだが、記憶障害が残った。

中学時代にはいじめにも遭ったが、松本筑摩高校入学後は音楽部長にもなり、ようやく少しだけ自信を身に着けた。「子供の頃から、台所に入って何かを作ることが好きだった」という彼女は卒業後は、ケーキ職人になりたいと強く思うようになった。ひたすら手作り感覚のケーキを作る職人。しかし、調理学校にも菓子店に受入れてもらうことは難しかった。

「それでも、ようやく有名なお菓子屋さんに雇っていただくことができた。2年半の間、主に補助作業」。

それから、母と娘のケーキ作りの道がスタートした。「この子には師匠がいないので」という美術作家でもある母親の京子さん。二人は本を読みあさり薄力粉や砂糖、材料や焼き方も細かく学んだ。多くの試作を繰り返したが、当然のように失敗の連続だった。シフォンの底面がへこんでしまう、業務用のオーブンを使いこなせない、思い通りに膨らまない。悔しさと無力さを味わった。しかしそれでも、もう引き返すことはできない。親子で涙しながらチャレンジを続けた。自信の切っ掛けは、震災地へ400個のケーキをお届けしたこと。毎日の製菓店の仕事を終えてからのケーキ作りを、きちんと同じものを心込めて、一日も欠かさず、丁寧に作り上げた。その後生まれたのが絶妙な風合いを持つ「天使のけーき」なのだ。

天使のけーき完成したケーキを初めて食べた人が、その優しいおいしさにふと漏らした「このケーキ、天使が作っているんだね」という嬉しい一言が店の名になった。

「だから、天使に失礼のないようにちゃんと作らなければいけないんです」と話す風実さんの外連味(けれんみ)のない笑顔。それこそが天使の笑顔そのものに思える。

砂糖はてんさい糖またはきび砂糖を使用しているから甘さもマイルド。スイーツ嫌いというムキにも好評なのは、そこに秘密が隠されている。たっぷりと濃厚なおいしさが詰まったホールから、お一人様分のチビシフォンまで、一度味わったら必ずまた食べたくなる、ぬくもりのある美味・・・それが風実さんの「天使のけーき」だ。

天使のけーき
◆所在地 長野県長野市上松2-4-30(城山動物園西側)
◆営業時間 10:00~19:00
◆定休日 月・木曜日
◆問い合わせ ☎080-6936-8745
●地方発送もしている

長野県長野市上松2丁目4−30

コメント

  • こんにちは。
    茨城県在住の64才大久保です。
    今朝ほどテレビで拝見して感動しました。
    沢山のハンディキャップをご家族と一緒に乗り越えたんですね。
    チーズケーキ美味しそうですね。
    これからも世界一のパティシエ目指してがんばって下さい。
    応援してます。

    2014年5月31日 2:17 PM | 大久保雅幸

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